今回紹介する本は、人気バラエティー番組のプロデューサー、角田陽一郎さんが書いた「最速で身につく世界史」。
覚えることばかりで退屈なイメージのある世界史も、彼の手にかかればシンプルで分かりやすく面白いものになってしまいます。
「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史 角田陽一郎 アスコム 2015-11-21
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読んで感じたこと
人間は、自分がいる国の希望に沿うように世界を見てしまいがちですが、世界史を学べば、他国の人がどう考えているかを学ぶことができます。
戦争を起こさないためには、それをきちんと知っておく。
世界史の本というと事実を羅列するだけのものが多いですが、この本には世界史を学ぶことの意義が熱く語られています。
読書メモ
著者
- 角田陽一郎さん
- TBSのプロデューサー
- 「さんまのスーパーからくりTV」や「金曜日のスマたちへ」などを担当
なぜテレビマンが世界史の本を作ったのか?
- 世界史はバラエティだから
- 歴史は何でも学べる何に興味を持ってもいい
- バラエティの視点で、世界史の情報を分かりやすく最速で身につけるように構成・編集した
文明
- 文明は、農耕に適した野生種が繁殖していたり、牧畜に向いた家畜がいたり、というたまたまから起こった
- 世界史は“差別の歴史”であり、同時に“差別との戦いの歴史”でもある。人は長く続いた偏見や慣習に引きずられがち。そうならないためにも僕らは世界史を知る必要がある。
- 部族間の争いが絶えず、そのために契約を重んじ、月の暦を基準とする文明がメソポタミア文明。これは現代の中近東でも変わらず、ISに代表される宗教対立・部族対立が頻繁に起こっている。
- 文明の交流は、気候の大きな変動のない東西方向の方が盛ん。南北方向は寒暖の差が大きいので南北アメリカ大陸では文明がなかなか起こらなかったのではないか。
宗教
- ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はどれもユダヤ教が元になっているので同じ神様を崇拝している。
- 一神教は矢沢永吉ファン、多神教はAKBファン
- 新たな宗教が広がるきっかけは、社会に不満が高まっている時が多い
帝国
- ユーラシア大陸の帝国は、北の貧しい軍事的遊牧民がウマという交通・通信手段を獲得して、南の裕福な農耕民を従えた国家。
- 世界史を動かす原動力は移動力の変化
- 中国の王朝は五行思想に基づいたテーマカラーがある
- 現代の日本や韓国の度を越した学歴社会や偏差値偏重は、中国の宋の時代に採用された文治主義と朱子学が遠因。
国家
- 世界の国の種類は血縁関係で続く「王国」と、公募で決まる「共和国」の2つしかない
- 普通の国は、ある場所に住んだ人々がひとつの民族になって作られるが、アメリカは「神の下の平等」という理想を元にした人工国家
- アメリカという概念=アメリカニズムは民族の歴史や物語と関係がなく普遍性があるため、世界に浸透した。だからといってアメリカがユートピアであるとは限らない
- 革命とは「過去との突然の断絶」
- 2度の世界大戦とは、新規獲得連合が既得権益連合にガラガラポンを狙って仕掛けたもの。どちらも新規側が負けたが、植民地が独立するなど、世界の再編が進んだ
その他
- 国際紛争を解決したいのならば、どのような状況においても戦争を起こさない、起こさせないことなのではないか?そしてその戦争を起こさないためには、間違ったプライドと間違った野望を抱かないこと。そのために世界史を知る必要がある。
- 人間は、自分がいる国の希望に沿うように世界を見てしまいがち。世界史を学べば、他国の人がどう考えているかを学べる。
- 現代史こそ教えてもらうのではなく、自分から学ぶべきジャンルではないか
まとめ
わたしは高校のときに世界史選択だったので、その頃覚えた単語をなつかしく思い出しましたが、当時やっていたのはほぼ丸暗記。
歴史の背景の文脈もしっかり理解して、その中で何が大事で、それを短い文章でどうやって説明すれば1番伝わるのかがちゃんと考えられているのはテレビで培われた力でしょう。
この本のように全体を把握した視点から豊富な例えを使って説明してもらえれば、もう少し成績もよくて記憶にも残っていたんじゃないかと思います。
学生はもちろんですが、今の大人にこそ読んでもらいたい本です。
「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史 角田陽一郎 アスコム 2015-11-21
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