running man Photo by esbjorn2
フルマラソンでなかなか自己ベストが出せずに苦しんでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな人にこそぜひ読んでほしい本を紹介します。
型破りで非常識なものばかりですが、理由を聞くと納得できるものばかりです。
市民ランナーはエリートとは違う
紹介する本はこちら。
本人も現役のウルトラマラソンランナーで、市民ランナーのランニングクラブ「club MY☆STAR」のコーチでもある岩本能史さんの最新刊です。
これまでも「非常識マラソンメソッド」や「非常識マラソンマネジメント」で常識と違う練習法を提唱してきました。この本はその最新版となります。
走るためのトレーニングが変わる!レースも変わる!そんな方法を教えてくれたもの
この本によると、市民ランナーのトレーニング法はエリートとは違っていて当たり前。フルマラソンを2時間ちょっとで走りきる人に効果的なトレーニングが我々にもそのまま当てはまるかどうかは分からないのです。
この本で紹介されているものはエリートランナーのものとは違います。
まだセオリーのないウルトラマラソンのレースで、岩本さんが自分自身を実験材料にして試し、よかったものをクラブのメンバーでも試して最終的に残った、まさに市民ランナーに効くトレーニングばかり。
さらに市民ランナーのデータの宝庫、jognoteの結果を解析して、統計的な結論からも意味ある結論を出しています。
今回はこの本から、私がなるほどと思ったポイントを10個紹介します。
その1:30km走は意味がない
30 Something via photopin (license)
フルマラソン練習の定番、30km走もこの本では否定的な扱い。
30kmまでは有酸素運動でのただの移動と言っています。
フルマラソンの時は、コンディションがよくても30km以降は心拍数が上がり無酸素運動になります。30kmで走るのをやめてしまうと、この無酸素運動のトレーニングができないのが問題とのこと。
その2:行うべきは15kmビルドアップ
30km走の問題を回避するためにこの本で勧められているのが15kmビルドアップ。
始めの5kmをフルマラソンの目標レースペースで走り、次の5kmを最初のラップマイナス1分で、最後の5kmをさらにマイナス1分半で走ります。
やってみると分かりますが、ラスト5kmがものすごくつらいトレーニングです。
このビルドアップでのラスト5kmを無酸素運動で走ることで、フルマラソンでの30km以降を再現したトレーニングができるとのこと。
その3:中級者以上がLSDをすると逆効果
SLOW Photo by Herr Olsen
この本で何度も出てくるのが「ラン反射」という言葉。
ランニング中は、脚が地面に着く直前に衝撃を吸収しようと反射が起こっています。
このラン反射を鍛えれば速く走ることができるのです。
この考え方によれば、LSDは初心者以外にはむしろ逆効果。せっかく速くなったラン反射を緩める結果になってしまいます。
その4:ストレッチはいらない
Morning Stretch Photo by Nick Harris1
これもラン反射に関わること。
ストレッチの中でも、ジワジワと伸ばすような静的ストレッチはむしろ悪影響があると言います。
ラン反射とは、筋肉が急に伸ばされると反射的に縮もうとする性質を使ったものですが、ジワジワと筋肉を伸ばす静的ストレッチではこの反射が鈍ってしまいます。
ではラン反射はどうすれば鍛えられるのでしょうか?
その5:行うべきは峠走
Downhill Photo by Andrea La Rosa
そこで取り入れるべきなのが峠走。
峠走とは、長い坂道を登った後で下るコースを走ること。月間走行距離の1/10を目安に走ることが勧められています。
登りでは心肺機能と推進力が鍛えられ、一方下りではラン反射と着地筋が鍛えられます。
フルマラソンに必要な要素を別々に効率よく鍛えられるのが最大の特徴です。
その6:シューズは薄底がいい
Saucony Kinvara 4 Photo by forester401
厚底のシューズでは地面からの反発が吸収されてしまい、ブレーキがかかってしまいます。
また、着地が不安定になるために膝を故障しやすく、さらに重くて脚が疲れる、といいことがありません。
薄底のシューズのデメリットである脚への衝撃は、峠走の下りで着地筋を鍛えれば耐えられるのです。
その7:走るのに腹筋はいらない
Fullmetal Alchemist Ouroboros Tattoo Photo by mrmoneda
もともとはフルマラソンを走った後でも、腹筋が筋肉痛にならないことから分かったもの。
この本では効果がないどころか、ゆっくり上体を起こす普通の腹筋運動は悪影響まで出てきます。
ランニング中、腹筋は後ろに流れる脚を反射的に引き戻す働きをしていますが、腹筋運動をすると、この反射が鈍ってしまうのです。
その8:1回に走っていいのは月間走行距離の1/6まで
In the distance Photo by Patty Maher
これはjognoteのデータから得られたもの。
500人以上のランニングデータを分析したところ、30km走をして故障をしたランナーの多くは月間走行距離が180km未満だったそうです。
無理して長い距離を走ってもダメージが残ってしまっては意味がありません。
その9:カーボローディングは不要
carb loading Photo by Premshree Pillai
フルマラソンのレース2〜3日前から糖質の摂取量を増やして体の中にグリコーゲンを貯めるカーボローディング。
著者はこれも勧めていません。
日本人はもともとご飯が主食で、日常からカーボローディング時とほとんど変わらない割合の糖質を取っています。
これをさらに増やそうとすると、食べ過ぎて体重を増やしてしまいかねません。糖質の過剰摂取は脂質を増やしてしまいます。
その10:フルマラソンは食べるスポーツ
Eat Photo by The Stakhanovite Twins
エリートランナーであればレース中の補給はほとんどしなくてもいいかもしれませんが、市民ランナーにとってはそうはいきません。
普段何もしなくても朝食から5時間もすればお腹が減ってくるもの。しかもそこに、2000kcalを超える消費となるフルマラソンを走るのですから、補給は絶対に必要です。
ゴール時間の5時間前に固形物を食べて、その後もエネルギージェルを定期的に取り続けるべきとのこと。
私には効きました
私自身、以前に15kmビルドアップを導入してサブ4を達成した経験があります。
記録に伸び悩んでいるなら、取り入れてみてはいかがでしょうか?
以上、よっしー(@yosshi7777)でした。
明日も「ココロ」動く1日を!