今日の読書メモは、立花隆さんが死について語ったことについてまとめた本「死はこわくない」です。
ご本人が75歳と死に近い年齢になってきたことと、臨死体験を扱ったテレビ番組を担当したことで、死に対する意識がかなり変わったそうです。
読んで感じたこと
死はこわくない 立花 隆 文藝春秋 2015-12-05
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幽体離脱や神秘体験など、臨死体験と呼ばれるものは、死の直前に衰弱した脳が見る夢に近い現象で科学的に説明がついてしまうだろうとのこと。
ただしどのようにして臨死体験が起こる「How」が科学的に説明できるようになったとしても、なぜ臨死体験が起こるかという「Why」は説明できない。
だからここを説明するのに哲学や宗教の役割がある。
臨死体験なんて幻想なんだから意味がない、くらい言うのかと思っていたんですが、「死後の世界が存在するかどうかは個々人の情念の問題」など、それぞれの人に解釈を委ねる内容になっていて、すんなりと納得できるものでした。
わたしの考えは「それを信じている人が幸せになれるのであれば本当かどうかはどっちでもいい」というものなので、それともよくマッチしていました。
読書メモ
立花さんが人の死について語った文章を集めたもの。
立花さん
- 75歳
- がんや心臓の手術もした
- 死が怖くなくなってきた
- 生に対する執着が弱くなってきた
- 取材で臨死体験を取り上げた
- 年を取って死が近くなってきた
死後の世界
- 存在するかどうかは個々人の情念の問題
- 論理的に正しいかどうかの問題ではない
NHKスペシャル
臨死体験
- 死の直前に衰弱した脳が見る夢に近い現象
- 脳科学をもとに科学的に明らかにした
- 視聴者から「死ぬのが怖くなくなった」と感想
体外離脱
- 自分の身体を認識する脳のモデルが崩壊して起こる
- 脳が作ったもの
神秘体験
- 死の間際に、脳の辺縁系により白昼夢を見て、幸福感で満たされる。これが神秘体験ではないか?
看護学生への講演
ケアとキュアの違い
- キュアは医者の仕事
- ケアは看護士の仕事
- ケアは感情労働。終わりがない。
脳について科学的にわかったこと。「臨死体験」ディレクターとの対話。
意識とは何か?
- 目覚めて起きているとき、脳の中を去来するすべて
- 意識と無意識の科学的分析は明晰夢の研究がきっかけ
- コッホとトノーニ
- 科学的なアプローチを極めて行った結果、宗教的な世界観に近づいた。同じことを別のアプローチから説明したにすぎない。
- 科学では神秘体験が生まれることに対してHowは導き出せるが、Whyは出せない。
- 科学は常に解釈の余地を残し続ける。
あとがき
- 人はなぜ死ぬのか?その大きな理由は科学には語れない。それは哲学や宗教の役割。
死とは何なのか?
- 答えは年齢によってかなり、あるいは微妙に変わってくる。
まとめ
臨死体験について科学的な説明がとてもわかりやすくコンパクトにまとめられているので、その部分を読むだけでも面白いです。
文字も大きくて薄いので、すぐ読めてしまいます。
死はこわくない 立花 隆 文藝春秋 2015-12-05
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この記事はSLPRO X for iPhoneを使って書きました。