老化に病気に性格も 腸内フローラがすべてを決める

NHKスペシャルで放送された腸内フローラの番組を見て衝撃を受けました。

 

腸内細菌が肥満の原因?

2月22日、日曜日の夜9時から放送されたテレビ番組、NHKスペシャル「腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~」です。
NHKスペシャル|腸内フローラ解明!驚異の細菌パワー
フローラとはお花畑という意味で、人間の腸内に200種類以上、トータル100兆個という様々な細菌が生息している様子からつけられた名前。個人ごとに異なる腸内細菌の環境を表しています。

番組は、太った人と細い人の腸内フローラを移植したマウスに、同じ食事を与えた実験から始まります。

同じ食事を与えたのにも関わらず、太った人の腸内フローラを持ったマウスの方が太りやすかったのです。この2種類のマウスは遺伝的には同じものなので、遺伝子ではなく腸内細菌が肥満の原因であることが初めて示されました。

さらに太った人と細い人の腸内フローラの比較から、太った人にはある種の腸内細菌の数が少ないことも分かりました。この腸内細菌が関わっていたのは「短鎖脂肪酸」の産生。短鎖脂肪酸は腸から吸収され、脂肪細胞では脂肪取り込みを抑制し、筋肉では脂肪の燃焼を促進します。つまり、脂肪を減らして肥満を抑制する働きを持っていたのです。

老化にも関わっている

腸内細菌の驚くべき機能はまだ続きます。

続いて登場するのは、腸内細菌が大豆を分解した時に作られる「エクオール」。

この物質は皮膚の繊維芽細胞に働きかけ、肌の表面を滑らかにしてシワをなくしてくれます。実際、エクオールを飲んだ人の方が飲まなかった人よりもシワの数が減っていることが分かりました。

腸内細菌は老化にも関わっていたのです。

ガンにも…

腸内細菌は肥満や老化だけでなくガンの発生にも関わっています。

特に注目される発見は日本で行われました。

日本初のガン専門病院である、がん研有明病院で見つかった腸内細菌は「アリアケ菌」と呼ばれ、細胞老化を促進してガンを誘発します。

そしてこの細菌は、肥満により数を増やすことが分かりました。これまで肥満とガンの発生には関連があることは分かっていましたが、その詳しいメカニズムは不明なままでした。今回の結果により、その関連をつなぐものが腸内細菌である可能性が示されたのです。

この関連か分かったことの意味は大きく、 「ネイチャー」「セル」と並ぶ世界3大科学雑誌のひとつ「サイエンス」が、その年起こった科学界の10大ニュースに選んだほど。

これまで理由の分からなかった科学界のブラックボックスが、腸内細菌により明らかにされようとしているのです。

そして、性格にも

そして病気との関わりだけでなく、性格の形成にも腸内細菌が関与している可能性が。

マウスにも、好奇心旺盛なものや臆病なものがいます。実験で、この2種類のマウスの腸内細菌環境を取り替える実験を行いました。すると、もともとの遺伝的な性質だと思われていた好奇心旺盛さや臆病さが逆転したのです。性格が腸内細菌環境によって決められて、それが後天的に変えられるという驚くべき結果でした。

腸内細菌はどのようにして腸から遠く離れた脳に影響を与えているのでしょうか?

実は神経細胞は脳以外では腸管に最も多く存在して「腸管神経系」と呼ばれるネットワークを作り、脳とも結ばれています。腸内細菌は、これら腸管神経に働きかける物質を作り出し、腸管神経系を通して脳に影響を及ぼしています。

脳の病気であるうつ病の治療に腸内細菌が使えないか確かめるべく、まさに今、うつ病の患者にある種の腸内細菌を服用させる実験が行われているところです。

全部お前の仕業だったのか

肥満、老化、ガン、性格、うつ病、糖尿病…これらすべてに腸内細菌が関わることが分かってきました。

ここまで見て思ったのが「腸内細菌、全部お前の仕業だったのか」ということ。

栄養吸収のための器官というこれまでの常識を越えて、ありとあらゆるところの裏で糸を引いていたのです。

腸内をいいバランスに

こんなにもあらゆるところに影響を及ぼす腸内フローラ。できるだけいい状態に保っておきたいところ。

腸内フローラにいる細菌は、出産で赤ちゃんが産道を通った時に初めて体の中に入り、3歳ころまでの間に固定化します。その後は数の比率が変わることはあっても種類の変動はありません。

すでに体の中にいるもののバランスを整えることが重要です。

ここで必要になるのが食物繊維。それ自体は人体には吸収されませんが、腸内細菌のエサになり、バランスを整える助けをしてくれます。

これまでも再三言われていることですが、正しい食生活をすることが改めて大事だということです。

今後さらに研究は発展して、腸内細菌由来の病気の原因の発見という今の状態から、治療にさらにシフトしていくでしょう。

まだまだ腸内フローラから目が離せません。

なお、再放送が2月26日(木)午前0時40分(25日の深夜)に予定されているので、見逃した方はぜひご覧あれ。

  • 腸内細菌はありとあらゆることに関わっていた!
  • やっぱり胃腸を大事にしよう!

以上、よっしー(@yosshi7777)でした。

明日も「ココロ」動く1日を!